揚げ物をする際には結構な量の油を使いますが、一回の使用で捨てるのは非常にもったいないですよね。油は使い方や保存方法によって状態が大きく変わります。油が何回くらい使えるのか、知っておきましょう。
油が使えなくなる状態とはどのようなものでしょうか?油は空気中の酸素や、光、熱によって「酸化」したり、分解や重合と呼ばれる化学変化によって他の物質に変わったりします。
このような変化を「油がいたむ」、または「油が劣化する」と言います。わずかな酸化であれば匂いや風味に多少の変化が現れるくらいであり、この程度ではまだ使用可能ですが、劣化が進行すると不快臭がしたりベトベトしたり泡だったりします。
このような劣化が進んだ油で調理すると、その油を体に取り込むことになるため、胸焼けしたり、気持ち悪くなったりすることがあります。清掃の行き届いていない古い厨房の換気扇は黒っぽいベトベトした油が付着していますが、あれはまさに劣化した油の最終形態とも言えます。
油には賞味期限があり、開封後使用していなくても徐々に酸化されていきます。揚げ物などで熱を加えると熱酸化が起こり、さらに酸化が進みます。使用後揚げカスや水分が残っているとさらに酸化が進みます。
また、使用するにつれて油が褐色になってきます。これはしょう油など下味に使用したものが溶け出したり、素材に含まれている鉄分が溶け出すことで起こります。
油は揚げ物などで使用すると衣に吸収されたり、蒸発したりして徐々に減っていきます。この減った分だけ新しい油を足す事になりますが、この事を「さし油」といいます。
さし油することで新しい油が加わるので、比較的長持ちさせる事が可能です。劣化した油よりも、さし油によって新しい油が入ってくる状態が続けば、油は一定の品質を保持し続け、長く使うことが可能となります。
そのため、揚げ物に使った揚げ油を普段の炒め物にも使用すれば、さし油の量や回数が増えるので、揚げ油をさらに長持ちさせる事が可能です。
新しい油をさし油することで、揚げ油の劣化を抑えることが可能ですが、最初の揚げ油の量が多すぎると、なかなかさし油ができず、さし油するまではどんどん油が劣化していくことになります。
そのため、揚げ油の量は最小限にとどめ、こまめにさし油するようにすると、油の温度が下がりにくく、油の劣化も最小限にとどめることができます。
鍋の形に一工夫することで、使用する揚げ油の量を少なくすることも可能です。揚げ物には3〜4cmの油の深さが必要ですが、鍋の直径を小さくする、平らな鍋底ではなく、丸い鍋底の鍋を使うことで、少ない油でも必要な油の深さを確保することが可能です。
油の劣化を抑えるためには、油を汚さないことが大切です。油に不純物が混ざるほど酸化が進みやすく、さし油で改善できないほど油が劣化してしまうからです
野菜の素揚げなどはほとんど油が汚れることがありませんが、調味料を染み込ませた衣付きのお肉の場合、調味料や肉汁が油に染み出してしまい、油の劣化を早めてしまうことになります。
特に揚げ油の温度が十分に上がっていない状態で具材を入れてしまうと、衣が形成される前に小麦粉などが油に溶け込み、目の細かいフィルターを使わない限り、回収が困難となります。
油を上手に使うには、「野菜の素揚げ」→「天ぷら」→「から揚げ」→「竜田揚げなど味のついたもの」といったように油の傷まない順番で使用していくと長持ちします。
揚げ油は酸化されて傷んでくることがわかりましたが、では実際どのくらい使えるのでしょうか。
東京都消費者センターが過去に行ったテストでは、適温で揚げ物をして毎回3分の1程度さし油をすれば、10回くらいまでは少しずつ油の劣化が進みますが、それ以降はさし油のおかげで劣化が見られず、30回使用してもおいしく食べれるとの報告がされています。
しかし、油は熱に弱く、2〜3回の使用で体によくない物質が生成するのでフライ油は捨てるべきだとの意見もあります。ただ、一日中加熱状態である業務用と違い、家庭用は1日にせいぜい20〜30分程度しか加熱されないので、家庭での調理における熱酸化は比較的少ないと考えられます。
揚げ油の使用回数は油の種類や揚げ物の種類、温度、使用後の保管状況により異なるため一概には言えませんが、目安としては四人家族の場合、同じ油を1ヶ月のうちに3〜4回で使い切るのがよいようです。
アクセスランキング | ||
---|---|---|
1 | 油は何回使えるの? | |
2 | 食用油はどうやって保存したらいいの? | |
3 | いたんだ油はどうやって見分けるの? | |
4 | 酸化に強い油を選ぼう | |
5 | 廃食用油のリサイクル |
併せて読みたいトピックス | |
---|---|
これでサクサクに揚がる?揚げ物のコツとは | |
炒め方で料理が変わる!上手な炒め方とは | |
食用油はビタミンを摂るのに欠かせない存在 | |
こんなにある!食用油の種類はどれくらい? | |
炒める揚げるだけじゃない!食用油の役割とは |