ごま油は人類が非常に古くから使ってきた油であり、日本では江戸時代に揚げ油として広く流通しました。香ばしい香りが特徴ですが、搾油の仕方によって色も香りも異なります。ごま油がどのような油なのか、ぜひとも知っておきましょう。
ごま油はその名の通り、ごまから搾油した食用油です。ごま油の名前を知らない人はいないほど、とてもメジャーな食用油の1つですが、ごま油がどのようなものかを正しく答えられる人はあまりいません。
ごまの歴史は非常に古く、原産地はアフリカのサバンナとされています。古代エジプト文明やメソポタミア文明、インダス文明などの遺跡からはごまが発見されており、紀元前数千年前から人類はごまを栽培し、活用してきたと考えられています。
ごまには50%以上の油が含まれているため、油を採るには最適な植物であると言えます。ごまから採った油は食用のほか、灯火用の油としても非常に重宝されてきました。
一般的にごま油は「非常に香ばしい香り」のイメージがありますが、ごまから搾油した油は私たちが知っているごま油とは異なります。
中華料理などに使う一般的なごま油は茶色い色をしていますが、それは白ごまを焙煎してから搾油しているからです。焙煎する温度や時間が長いほど、そこから得られる油の色はどんどん濃くなっていきます。焙煎することで、私たちが知っている香ばしいごま油になるのです。
一方、ごまを焙煎しないで搾油すると透明な油が得られます。このようなごま油は「太白油(たいはくゆ)」と呼ばれており、食用油としてのほか、マッサージオイルとしても使われています。
和名 | ごま油 |
英名 | Sesami Oil |
科名 | ゴマ科 |
原料部位 | 種子 |
保存法 | 常温、暗所 |
調理方法 | 生食、加熱 |
ごま油に含まれる脂肪酸の主成分はオレイン酸とリノール酸で、いずれも40〜50%ずつ含まれています。ごま油の特徴は、なんと言っても酸化に強いことです。
通常、食用油は光や空気中に含まれる酸素によって酸化が進んでいきますが、ごま油は酸化安定性が非常に優れており、一般的なキャノーラ油やサラダ油など、他の食用油とは比較にならないほどです。
ごま油にはゴマリグナンと呼ばれるごま特有の微量物質が含まれており、代表的なものに「セサミン」や「セサモリン」などがあります。セサミンはサプリメントの名前などで聞いたことがある人がいると思います。
このゴマリグナンには強力な抗酸化作用があり、体内に発生する活性酸素の発生を抑え、美容や老化防止に役立つと考えられています。また、ごま油には同じく抗酸化作用があるビタミンEも非常に多く含まれており、ゴマリグナンとビタミンEが強力な抗酸化作用を発揮しています。
ごま油を使いたい最大の目的は、料理にあの香ばしい香りをまとわせたいことだと思います。ごま油は熱に強い油であるため、揚げ物や炒め物などの加熱調理に使うことができます。
炒め物の場合、最初から炒め油としてごま油を入れる人がいますが、それだと料理が出来上がる頃にはせっかくの香ばしい香りが飛んでいってしまいます。香りを楽しみたい場合は、最後にごま油を一回しかけ、軽く炒めて仕上げます。
天ぷらをする場合、一般家庭ではサラダ油やキャノーラ油がよく使われていますが、「江戸前」と呼ばれる天ぷら専門店ではごま油が使われています。ごま油の香ばしい香りによって、非常に食欲をそそる天ぷらの仕上がりになります。
ごま油は酸化に強いため、揚げ物に使うことによって、揚げた料理も、揚げ油も酸化しにくく、おいしさが長持ちします。ごま油はサラダ油に比べると高価ではありますが、サラダ油に30%程度混ぜるだけでも効果的です。
また、ごま油の保存方法はそこまで気を遣う必要はありません。酸化に弱い食用油は冷蔵庫に入れるなどする必要がありますが、ごま油は非常に酸化に強いため、光と熱を避けて保存すればよく、常温の暗い場所、つまり流しの下やキッチンの戸棚などにしまっておけば問題ありません。
揚げ物に使ったごま油の場合は、揚げカスが入ったままだと酸化が進んでしまいますので、揚げカスを取り除いて保存し、早めに使うようにしましょう。
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