パーム油は世界でもっとも生産されており、日本でも2番目に多い消費量を誇っています。しかし、スーパーでパーム油を見かけることはありません。これは、主に業務用として加工食品に使われているからです。パーム油がどのような油なのか、ぜひとも知っておきましょう。
パーム油は熱帯地方に生育する多年生潅木のアブラヤシになる果実から取り出した油です。ヤシと聞くとヤシの実を想像しますが、一般的なヤシの実とは異なり、1つ20〜30キロもある果房に数百〜2000個程度の橙色〜赤色の果実がついたのがアブラヤシの実です。
このアブラヤシの実にも種にも油がたっぷり含まれており、搾油した油や食用のほか、シャンプーや洗剤などにも使われています。アブラヤシはもともとアフリカ原産でしたが、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアに種子が持ち込まれ、大規模なプランテーション栽培が行われています。
このパーム油について知っている人はあまりおらず、スーパーの食用油コーナーでも見かけたことがありませんが、実は世界でもっとも生産されている食用油であり、日本でも菜種油に次いで2番目に多い消費量を誇っています。
では、どうしてこんなに使われているのに私たちはパーム油を目にしないのでしょうか。答えは、ほとんどが業務用として使用しているからです。
パーム油は液体にも固形にもなり、非常に使い勝手がよいことから、固形としてアイスやチョコレート、マーガリンに使ったり、液体としてインスタントラーメンやフライドポテト、ポテトチップスの揚げ油として使われています。
ただし、食品にパーム油が使われていても、原材料表記には「植物油脂」としか表記されていないため、パーム油が使われているのかどうかはわかりません。
パーム油の消費量は世界中で伸びており、東南アジアでアブラヤシのプランテーションの面積が年々拡大の一途をたどっているのですが、それに伴って熱帯雨林がどんどん伐採されているのが地球規模での大きな問題となっています。
和名 | パーム油 |
英名 | Palm Oil |
科名 | ヤシ科 |
原料部位 | 果実 |
保存法 | 常温、暗所 |
調理方法 | 生食、加熱 |
アブラヤシの果肉には50%近く油が含まれており、農園近くの工場ですぐに圧搾して油を製造します。これはすぐに採油しないと酸化しやすいためです。
しぼった直後のパーム油はオレンジ色をしています。これは果実にβカロテンが含まれているためで、最終的には精製して透明な油になります。
パーム油には不飽和脂肪酸のオレイン酸と、飽和脂肪酸のパルミチン酸が多く、いずれも40%以上含まれています。このオレイン酸とパルミチン酸の融点が異なるため、含まれる割合を調整することで、固体にも液体にもすることができます。
パーム油にはクセがなく、固形にも液体にも変えられることは食品業界にとって都合がよく、非常に使い勝手のよい食用油であると言えます。
固形のパーム油は口の温度で溶けるため、チョコレートやアイスクリーム、ホイップクリーム、マーガリンなどに使用すると、トロっとした口どけを演出することができます。
また、液体のパーム油は加熱や酸化に強いため、インスタントラーメンや冷凍食品、ポテトチップス、フライドポテトなど、加工食品の揚げ油として重宝されています。
アクセスランキング | ||
---|---|---|
1 | 油は何回使えるの? | |
2 | 食用油はどうやって保存したらいいの? | |
3 | いたんだ油はどうやって見分けるの? | |
4 | 酸化に強い油を選ぼう | |
5 | 廃食用油のリサイクル |
併せて読みたいトピックス | |
---|---|
これでサクサクに揚がる?揚げ物のコツとは | |
炒め方で料理が変わる!上手な炒め方とは | |
食用油はビタミンを摂るのに欠かせない存在 | |
こんなにある!食用油の種類はどれくらい? | |
炒める揚げるだけじゃない!食用油の役割とは |